#2 基礎 特殊商品販売 契約における重要な金融要素
今回は、「契約における重要な金融要素」というテーマを扱います。
収益認識基準
今回のテーマは、2021年4月からの
「収益認識に関する会計基準(新収益認識基準)」の適用開始に伴い
新たに試験範囲と改定されたものです。
そもそも収益認識基準とは、「収益が発生するタイミングについての決め事」です。
もちろん以前からそういったルールはありましたが、
会社ごとに異なる基準が定められていました。
「企業会計原則 第二、三」
『売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る』
と記載してあり、収益認識は実現主義によるものとされています。
ただ、実現主義は、個々の会社の実情に合ったタイミングで収益を認識するため、
他の会社とのタイミングがずれて、企業間比較が困難になるらしいのです。
そのため、日本の会計基準を国際会計基準に合わせる等の観点から
IFRS-15の考え方を全面的に採用して、収益認識タイミングを統一したわけです。
これに関しては賛否あるらしいですが、学者じゃないのでわかりません。
これは、税理士試験の簿記論や財務諸表論はもちろん、簿記検定にも影響を与えます。
ただ全般的に複雑な会計基準を廃止して、統一的な収益認識をしようとのことなので
昔よりは簡単(?)になるっぽいですね、多分ですけど、、、
そして特殊商品販売という章でいうと、影響は以下の通りです。
- 割賦販売:回収期限到来基準・回収基準の廃止、金利部分の区分処理
- 委託販売:売上計算書到達日基準の廃止
契約における重要な金融要素
前置きが長くなりすぎましたが、今回の話題に関することでいうと、
商品を販売したときに、代金を後払い(掛売上、割賦販売等)したとすると
商品自体の販売価額の他に 金利が乗ってくるはずです。
例えば、スマホの分割購入をしたときには
この金利部分って重要なの?重要なら金利相当分の影響を調整しなきゃ!
ってなわけですね。
重要な金融要素の会計処理
本体販売部分は商品引き渡し時
金利相当分は時間の経過に応じて計上することになります。
例えば、商品販売において、本体90円、金利調整分は10円、掛売上額100円とすると
販売時には
(売掛金)90 / (売上)90
掛代金回収時に
(売掛金)10 / (受取利息)10
(現金預金)100 / (売掛金) 100
もし掛代金を早期に回収できた場合は
(売掛金) 5 / (受取利息) 5
(現金預金) 95 / (売掛金) 95
と処理します。
仕入割引の売上側の処理だと考えるとわかりやすいかもしれない。。。
まあ色々書きましたが、
金利部分が重要だったらタイミングずらして認識しつつ
売上と営業外収益(受取利息)に区分しろよ、とただそれだけな気もします。
もちろん金融要素が重要じゃなかったら
販売時に
(売掛金) 100 / (売上) 100
と仕訳して終わりです。
また、ここで厄介なのが
もし金融要素が重要でも容認規定として
金利部分の影響を調整せず、重要じゃないときと同じように
処理することも可能です。
つまりは、問題文で販売条件を確認しろってことだけの話ですね(笑)